| 私たちは、以下の理由から、現在国会で審議されている共謀罪の新設に反対し、この法案を廃案にすることを強く求めます。
共謀罪は話し合うことが罪に問われるという、内心の自由、言論・表現の自由を侵害する違憲の法案です。
新設されようとしている共謀罪は、法律で4年以上の刑が科せられる犯罪行為について話し合い、「合意」しただけで、実際に犯罪に着手しなくとも、2年から5年以下の刑を科すことができるというものです。
日本の法律で4年以上の刑が科せられる犯罪は、約560種類にものぼります。その対象範囲は、殺人罪から傷害罪、万引きをふくむ窃盗罪、消費税法から相続税法、道交法から水道法、著作権法、公職選挙法まで実に広範です。市民生活のすみずみにまでかかわる法律が共謀罪の対象になっています。これでは、うっかり冗談もいえなくなってしまいます。
共謀罪の新設は個人の犯罪の実行を処罰する刑法の原則を踏みにじるものです。
人は、日常生活の中で法律に触れる行為を考えたり話しあったりすることがよくあるものです。しかし、話しあい、確認することと、実際に行動することは全く別のことです。
日本の刑法は犯罪が実際に行われ、被害が生じたときにその犯罪行為を処罰することを原則としています。ごく例外的に予備、陰謀を処罰していますが、予備(準備)では、内乱罪、外患罪、放火罪、殺人罪、強盗罪などの重大な犯罪に限られています。予備より更に前の段階である陰謀罪(共謀罪)の対象は内乱罪、外患罪などにしぼられています。実際に2003年の犯罪統計を見ても、陰謀(共謀)は0件です。共謀罪の新設が認められたら、日本の刑法体系は根本からくつがえされることになります。
共謀罪は市民団体をはじめとする全ての団体の取締法です。
政府・法務省は、共謀罪は組織的犯罪行為を対象とするもので、市民団体や労働団体を対象するものではないといっていますが、これは言い訳に他なりません。共謀罪の対象とする団体は、「共同の目的を有する多人数の継続的結合体であって、その目的又は意志を実現する行為の全部又は一部が組織(指揮系統に基づき、あらかじめ定められた任務の分担にしたがって構成員が一体として行動する結合体)により反復して行われるもの」であるとされています。この団体の定義から明らかなように、共謀罪は全ての市民団体、労働団体などを対象としています。しかも、密告者の刑を減免するとしています。密告を奨励し、スパイを潜入させる、おとりを使うなどして狙った団体を潰すことは容易です。
新設される共謀罪は、対象団体の無限定性、対象犯罪の多さ、実行行為以前の言論などを対象とし、対象を無限定に拡げてえん罪をつくった治安維持法を上回る悪法です。
共謀罪は、監視社会への道を押し進めます。
共謀罪の対象は、話し合うことの内容です。その内容が長期4年以上の刑に当たれば処罰されます。犯罪が生じていないのに共謀を立証するためには、室内盗聴をはじめ盗聴法の適用が拡大されることは必至です。既に盗聴法の適用範囲の拡大が検討されています。
共謀罪の設置に伴って、警察官の耳と眼が市民生活の隅々までいきとどく監視社会への道が進行し、市民相互の信頼が失われます。人は自由に考え、議論することもできなくなってしまうのではないかと私たちは危惧しています。共謀罪の新設は自由と人権と民主主義の死への道です。
私たちは、話し合うことを処罰する共謀罪の制定に絶対反対であり、同罪の廃案を強く求めます。 |